2019年9月〜12月(1)

書くのをサボっていたら4ヶ月分になり収拾がつかなくなってしまいました

 

〇音楽

・はなたば / シャムキャッツ (2019)

王舟をプロデューサーに迎えたEPで全体としては落ち着いた雰囲気で多彩な曲群をまとめた感じになっていますが、ライブでは初期を思わせるアグレッシブな感触があり良かったです。個人的にはMV含めて菅原曲”我来了”がベストで、彼の曲がバンドで占めるポジションの変化を感じたりしてそういう意味でも面白いなと思います

 

・HASHIKE LIVE AT O-NEST 2019 / シャムキャッツ (2019)

今年8月21日開催の1stアルバム”はしけ”再現ライブの録音盤ですが、クリアな音質で安定と破綻を行き来するスリリングな演奏とMCを楽しむことができかなり良いです

 

・mint exorcist / FINAL SPANK HAPPY

2018年の"夏の天才"から1年以上経ちリリースされた1stで、各種媒体で主張しているように2期スパンクス的毒気はなく戸惑いを感じるほどあっさりしつつポップスとして開かれた作品になっています。個人的に2期スパンクスについては性的倒錯とか岩澤瞳と菊地成孔の関係性等よりも、どちらかと言えばアルバム"COMPUTER HOUSE OF MODE"の80年代への憧憬や捻くれつつ純粋な歌詞を乗せたキラキラしたエレポップ部分を偏愛しており、そういう意味では今作では"NICE CUT"や"tO→Kio"、"ヒコーキ"辺りがベストトラックという感じでした。ライブもそうですが現スパンクスは最近になり今までに無いキモさが表出してる感があるのでその方向性のさらなる展開も期待しています

 

・BE KIND REWIND / lyrical school (2019)

リリックのカルチャー引用のセンスが好きです。"Over Dubbing"~"LOVE TOGETHER RAP"までの怒涛の流れと名画のパロディで構成されたMVがとにかく好きな"LAST DANCE"辺りが好みです

 

・エアにに / 長谷川白紙 (2019)

君島大空に続いて何度も引き合いに出すのも気が引けますが、やっぱり初期七尾旅人を思い出させるジャズを基調としたアバンギャルドなアレンジにポップスと青さを折衷させた感触が個人的な好みとして抗えない感じです

 

・未来で笑っているために / car10 (2019)

前作まで残っていたパンキッシュでひしゃげた疾走感と英詞が完全に無くなりよれた歌声とヘロヘロなメロディが印象深いギターロックとなりましたが、それゆえにどこか力の抜けた感覚が心地よく何回も聴くことで徐々に染み込むのが良いです

 

・これがブッダブランド! / BUDDHA BRAND (2019)

2019年にブッダの新譜でブチ上がれるとは思っていなかったです。デミさんのヴァースが切れまくってる"PUNCH(仮)"と面食らうほど明るい"生きる"がフェイバリットです

 

・はじめてのかくめい! / DIALOGUE+ (2019)

田淵智也さんにはこれからも素敵な楽曲を作り続けてほしいです

 

・シブヤROCKTRANSFORMED状態 / NUMBER GIRL (1999)

ナンバガは元々それなりに聴いておりつつも「ナンバガを聴く」という事に謎の自意識を感じ続け苦しんでいましたが、今年のライブを経てフラットに好きになることができこういう経験もあるんだね~と思いました(単に今まで惰性で聴き込んでなかったせいだという気もしますが…)。SUPER YOUNG間奏の向井の語りはいつも目頭が熱くなります

 

・The Life Pursuit / Belle and Sebastian (2006)

ベルセバは安定して良作を出し続けるバンドという曖昧な認識があったため積極的に手を出せずにおり今作も映画「ゴッド・ヘルプ・ザ・ガール」視聴を機に聴いた感じでしたが、他の60年代ギターポップ〜ソフトロック等を出自とするバンドにあまり見られないウェルメイドな手触りやソングライティング力の強さが感じられ良かったです

 

 ・The Cigavettes / The Cigavettes (2011)

リリース当時は(シーンへのカウンターとしての)某音楽ライター大推薦バンドという印象が強すぎましたが今聴くと良質なメロディやコーラスとスムースなボーカルを普通に楽しめて良いです

 

・Rank / The Smiths (1988)

スタジオ音源と異なる性急で激しい演奏に乗ってモリッシーが吠えるのがスリリングで本当に良いです

 

・REAL / L'Arc〜en〜Ciel (2000)

強烈なサビと軽量な演奏のマッチングが良い"NEO UNIVERSE"、甘いメロディに90年代UKギターロック風アレンジと謎シニカルな歌詞が合わさった"bravery"、Oasisの"Fade Away"そのままな"STAY AWAY"など聴きどころが多く、また休止直前だったからなのか前作までの耽美的な雰囲気が薄れ個人的に良くも悪くも取っ付きやすく感じるため頻繁にリピートしています

 

・すとーりーず/ ZAZEN BOYS (2012)

何となく聴かずにいましたが溜めと解放を執拗に繰り返すリズム隊とナンバーガール時代の詩情から新しいステージに移ったように感じる(7年前の話ですが)向井のアジテーションじみた歌に快楽中枢を刺激され良いです

 

 

〇小説

・死をポケットに入れて / チャールズ・ブコウスキー

下世話で捨て鉢な文章ながらその中に見え隠れする主観と客観が入り混じった冷静な視点(吾妻ひでおのホームレス~アル中時代を描いた作品群を思い出しました)や美しい表現が良いです

 

 

〇漫画

・CONFUSED! / 福富優樹・サヌキナオヤ

エイドリアン・トミネを想起させる日常に寄り添った苦味のあるストーリーとシンプルでポップな絵柄にグラフィックノベルへの愛情を感じられて良かったです

 

・キリング・アンド・ダイング / エイドリアン・トミネ

「サマーブロンド」より絵も物語の切り口もさらに洗練されており心に来るものがありました。何とも言えない暗さや苦みが心に引っかかるのが好きです

 

・「スコット・ピルグリム」シリーズ / ブライアン・リー・オマリー

黒田硫黄にも影響を受けているらしいアグレッシブでデフォルメが効いた絵でこれだけキュートかつ色気があるのが凄いと思いました。ハチャメチャ気味な割に所々リアリティが滲むストーリーも良かったです

 

・青い薬 / フレデリック・ペータース

エイズを取り扱った自伝的内容にも関わらず極度に湿っぽかったり感情的にならず、筆者自身の哲学的・文学的な思考と世俗的な感覚の間を行き交いながら家族で生活していこうとする様の描写が素晴らしかったです